88 / 124

第88話 本当の気持ち②

「貴臣から聞いたんですか……?」 「うん。色々と言ってたよ、お前とのこと。初めの頃は、冷たく接してるのに笑顔で話しかけてくるお前を正直疎ましく思ってたけど、事故で病院に運ばれた時にめちゃくちゃに泣かれて、申し訳なく思ったんだと」    それはその通りだ、と思った。  あの日から俺たちの関係は劇的に変わったのだから。 「初めの頃は、お前と自分とは違うタイプだから合わないだろうって勝手に結論づけてたみたいなんだよ。まぁ、家族になることを放棄してたんだろうな。でもお前が自分をたくさん気にかけてくれたお蔭で仲良くなれたんだって、前にここで嬉しそうに語ってたぞ」 「……貴臣が?」  どうして自分の殻を破るんだ、と怒らせてしまったのに。  本当はそうされて嬉しかったのか? 「うん。『だから先輩、そんな兄さんのことを泣かせたりしたら許しませんからね』とも言われた。笑顔だったけど、その笑顔が怖いなって思ったよ。あぁこいつ、きっと本気で許さないだろうなって」  俺の幸せを願う、貴臣。  俺を大事に想ってくれていた。  そう思うと、ますます涙が止まらなくなった。 「……っ、でも俺はもう……貴臣とは仲良くはできな……っ」  もう殻を破らないと告げてしまった。もう貴臣と、距離が近くなることはない。  しゃくりあげていると、相良先輩はますます慌てた声を上げた。 「あぁ、だから泣くなって~。今言ったばっかりだろ。お前が泣くと、貴臣にボコられるのは俺なんだぞ」  自分が不甲斐なくて泣いているのに、先輩は自分のせいで泣いていると思っている。  涙を引っ込めなくちゃ。  俺は深呼吸して、どうにか落ち着かせようとする。 「ご、ごめんなさい、女みたいにメソメソ泣いて……」 「少し落ち着いたか?」 「はい……」 「じゃあ今度は、俺の本当の気持ちも聞いてくれるか」  先輩に言われ、俺は腫れぼったい目を向けて頷いた。 「俺、告白された時さ、お前のこと……そこまで好きじゃなかったんだ」  ごめんっ、と勢いよく頭を下げられた。

ともだちにシェアしよう!