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第102話 義兄弟、秘密の……①*
玄関に入った途端、壁ドンされた。
忙しなく顔が降ってきて、唇をもぎ取られるかってくらいに激しく吸われた。
「んっ、ん……はぅ……っ、ん」
逃げられないように、顎を掴まれる。
固定されて、生き物のように蠢く舌先が俺の口腔を刺激する。
上顎を舐められ、歯列をなぞられ。
がくがくと、腰と足が震えた。
「んー……っ……」
ぴちゃぴちゃと、卑猥な音が玄関で響く。
隣の家には聞こえてないと思うけど、今ドアを誰かに開けられたらと思うと気が気じゃない。
でも今の俺は、貴臣の熱情を途中で遮断したくはなかった。
ずっとずっと、したいと思ってたんだ。
貴臣と、悲しくない方のちゃんとしたキス。
「……は、ん……」
顔を離すと、どちらのものか分からない唾液が糸を引いた。
貴臣は熱っぽい視線をこちらに寄越す。
「相良先輩とは、キスしたんですか」
「あぁ、うん、少しだけ……」
「少しってどのくらい?」
「えっ……今のキスの方が全然激しいよ。先輩とは単に唇を合わせたって感じで、舌も入れなかったし」
「そうですか。ではその5倍は激しいやつ、してあげますね」
もう一度顎を持ち上げられたので、自然と目を閉じた。
うれしい。貴臣が俺のために嫉妬してくれている。
貴臣が顔を右に傾ければ、俺は左に。より深く届くように。
「ん……ふぁ……っ、貴臣……っ」
「……はい」
「も……俺……っ」
「我慢できませんか?」
燃えるように熱くなった顔で、こくこくと頷く。
下着の中はきっと大変なことになっている。
痛いくらいに勃ちあがっているそれを意識しながら、貴臣に手を引かれ2階にあがった。
俺の部屋でも良かったけど、貴臣は自室に連れていった。
そのまま押し倒されるかと思いきや、俺の背中を優しく押してベッドに座らせてくれた。
「この間はここでひどいことをして、本当にごめんなさい」
「い、いいってもう。何度も謝ってくんなよ」
しゅんとする貴臣に、ぶんぶんと手を横に振った。
ずっと気にしていたんだろう。
だけど今考えれば、あれも貴臣の嫉妬だと思うと許せる気がした。伊岡の時も秋くんの時も、俺が好きだから故の行動だったんだ。
自分勝手に行動するかと思えば、引きずることはいつまでも引きずるんだな。
大人なのか子供なのか分からない男に、今度は俺の方からキスを仕掛けた。
貴臣の顔を両手で挟んで、閉じている唇を舌先で割って中にもぐりこむ。
「ん……っ、ん──……」
気付けば俺はそのまま上半身を倒されて、貴臣の顔を見上げていた。
キスを続けたまま、貴臣は自分の上着を脱ぐ。
俺は貴臣の首のうしろに手を回して、より深い快感を求めた。
服の上から、かり、と乳首を爪先でこすられ、じんと体が痺れた。
もう一度同じことをされ、ぴくんと肩が跳ね上がる。
「んっ、ん……っ」
かり、かり、とまた同じようにされる。
一定のリズムで引っ掻かれると、面白いくらいにそこから電流が流れて下半身に血が集まった。
今度は指の腹でふにふにとやわらかく押されて、耐えきれなくなった俺は自ら唇を離した。
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