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第112話 大好きな人②*
貴臣は俺の片手を握ったまま、後孔に指を抜き差しするスピードを早めた。じゅぶじゅぶと、余計に卑猥な音が鳴る。
「はぁ……っ……ぁっ……ぁん……ッ」
はしたなくも、貴臣の腰に足をぎゅっと巻き付ける。
より快感を得られるように、指の動きに合わせて俺も腰を前後に動かした。
ペニスが貴臣のとぶつかって痛気持ちいい。
先走りでびしょびしょになったズボンをずり下げる暇も惜しむくらい夢中になった。
「んっ……い……いっ……ちゃ……」
「イく? 兄さん、イきそうなの?」
「んん…っ、おれっ、も……あ──……」
ビクンビクンッと腰を跳ねさせて、俺は達した。
欲望を全て下着の中に放つ。
あまりにも鋭い快楽に、頭の中が真っ白になった。
「……はっ……はぁー……っ、はぁ……ッ」
絶え絶えに息をして、くてん、と貴臣の体に寄りかかる。
パジャマの布だけではとても吸収しきれなかった液体がにじんで、貴臣の服や体を汚している。
そんな風にされて離れるどころか、逆にますます密着されて嬉しくなった。
「あぁ……兄さんのイキ顔は本当に、可愛い……可愛いです」
「……可愛いとか……やめろ……」
けれど貴臣にそうやって言われるのは実は嫌じゃない。好きだ、と言われてるのと同じだと思っている。
抱きしめながら頭を撫でられると、赤ん坊になった気分だ。絶対的安心感。幸福感。
何も心配はいらない、この人といれば。
全部俺を包み込んでくれる。
互いに衣類を脱いで、改めて同じ体勢になった。
貴臣のと俺のが重なり合って擦れる。
達したのに、凝り性もなく先端から蜜が滲んできた。
「早漏だけど、復活するのも早いですね」
「……るせっ……あ……」
「もう、入れていい? 我慢出来ない」
貴臣は俺の耳たぶを、かぷっと噛んでおねだりしてきたので頷いた。
可愛くおねだりされて意地悪したくはならない俺は、きっとサディストではないんだろうな。
従順したい。貴臣にもちゃんと、気持ちよくなってもらいたい願望が強い。
「このまま入れますか? それとも下になる?」
「……これ、で」
俺は腰を浮かせて、後孔のいりぐちを貴臣のペニスの先端に宛てがった。
少しずつ体を落としていって、その熱を飲み込む。ズブズブと中が開いていく感覚に酔いしれた。
「は……ぁ……!」
さらに体重をかけていく。少し怖くて躊躇していたらお尻を掴まれて、左右にぐっと広げられた。
貴臣はさらに、俺の体を下に引っ張ってきた。
ローションは塗っていないのにするすると入ってくるのは、貴臣も先走りでいっぱいにしていたからだ。ついに最奥まで届いた瞬間、ドライでまた軽くイった。
「あ──……」
「すごく締まる。ほんと、持ってかれそう」
両肩に縋り付くと、貴臣は腰をゆっくり上下させ始めた。抜けたと思ったら、また最奥まで入れられる。じゅ、じゅと結合部から卑猥な音が鳴った。
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