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第113話 大好きな人③*
「あっ、あ、ぁ……っ」
「激しくするとまたすぐイッちゃうから、ゆっくりしますね」
貴臣は体を少し後ろへ倒し、俺が寄りかかりやすいようにしてくれた。
ベッドに膝をつくけれど、力が入らずガクガクと震えている。
言葉通り、貴臣は決して荒々しい動きはせずに、ひたすらゆっくり優しく腰を上下させた。
物足りない。もっと。もっと激しくして大丈夫なのに。
「これ……っ、持っ……て……いじって……っ」
「これ? 辛い?」
「ん……っ、つらい、から……っ、にぎってて……っ」
自分でしちゃダメなんだったら、おねだりするしかない。
貴臣にまた意地悪されるかと思いきや、今度はすんなりとペニスを握ってくれた。
鈴口を親指で押さえつけられ、グリグリと潰されながら竿を上下に擦られる。
2度3度と、貴臣が突き上げる動きに合わせて俺も腰を振ってみると、きゅうきゅうとお腹の奥が疼いた。
切なくて、もう1回腰を振る。
またもう1度。そうやっているうちに歯止めが効かなくなって、貴臣は動かしていないのに自分1人だけで動いている状況になった。
「ふふ。いやらしいな兄さんは。そんなに腰振っちゃって」
「……あ……も……やだ…っ……止まんな……ッ」
ギシギシとベッドが鳴る。
気持ちいいからもっと動いて。
動くからもっと気持ち良くて。
止めたくても、1度動いちゃったら振り子みたいにずっと止まらない。
貴臣の首の後ろに手を回して、夢中で腰を振った。
「んっ……気持ちいっ……ぁっ……ぁん……ッ」
「大好き。ずっと一緒にいたい」
貴臣はそう言って、俺の首筋に舌を這わせていく。
最近、俺に対して敬語を使わなくなる時が増えてきた。
特にこうして、愛し合っている最中。本人は無意識かもしれないけど。
顔を離して、おでこ同士をこつんとあてた。
「名前……呼んで……っ、前……みたく」
「え?」
「怜って……呼ん……っでよ……ッ」
貴臣は一旦大人しくなったあと、すぐさま俺の体を持ち上げてベッドへ押し倒した。
反動で抜けてしまったペニスを、すぐに俺の後ろに宛ててぐっと推し進めてくる。
「──怜」
膝裏を持たれ体重をかけられる。
恥ずかしい場所を思い切り見せつけているような体勢になった。羞恥でいっぱいになりながらも、熱をぎっちりと奥まで受け入れた。
「怜……大好き」
「……んっ、あ、あっ……」
「どうしようもなく、好きです……嫉妬で、気が狂いそうになるくらいに怜が好き」
突かれる度、目の前に星がちかちかと散る。
激しくピストンを開始され、さっき『もっと激しくていいのに』と考えた自分を少し恨めしく思った。
息もままならない。貴臣の激情、愛情。
これでもかと思うほどの熱量を受け取った。
涙が弾けて周りに散った。
「あ──……っあ……んん……」
「怜。ずっと……一緒にいて」
シーツの上で、手をぎゅっと握り合う。
貴臣は、やっぱり優しくて格好良くて最高で……俺の自慢の、おとうとだ。
「ん……いるよ。一緒に」
そう言うと鷹揚に笑ってくれたので、嬉しくなって貴臣の体に抱きついた。
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