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第116話 朝までしあわせ。【終】
入浴後、貴臣が食後のデザートがあると言うので、やってくるまでベッドに腰掛けて大人しく待っていた。
どんなスイーツだろうかと期待していたら、なぜか急に濃厚なキスをされ、そのままベッドに押し倒されてしまった。
「ん、あれ……デザートは?」
「はい。美味しく頂きます」
「……まさか、おれ、とか言っちゃったりする?」
不敵な笑みを浮かべられたので、鼻で笑いつつも貴臣の頭を両手で包み込んだ。
さっきは子供みたいに鼻を啜ってたのに。
もうすっかり意地悪モードだ。
体温を感じる。ドキドキ、わくわく。
誰にも邪魔されない、2人だけの秘密の時間がはじまる。
「今日は久々に、縛ってもいいですか?」
貴臣が徐にハンドタオルを見せてきたので、縛られる感覚を想像しただけで腹の奥がキュンと疼いた。
俺たちはいつからか、レッスンをしていた時みたいに色んな方法で愛し合うようになっていた。
「ん、まぁ……お前がやりたいって言うならいいよ」
「そんなこと言って、本当は嬉しいくせに」
「だっ、だから、やるなって言ってもどうせやるんだろっ」
「はい、ではそういうことに」
「うるせっ」
俺も笑って、貴臣に抱きついた。
互いに甘えて甘やかして、愛の言葉を囁きあって、熱情をぶつけ合って。
終わった後だって、離れたりはしない。
特別な時間は、ちゃんとあしたの朝まで続く。
寄り添って、もう離れることがないようにきゅっと抱きしめ合う。
「おやすみ。兄さん」
「うん。おやすみぃ」
夢の中でも、しあわせを。
そうして俺たちは夜の隙間に忍び込み、ゆっくりと瞼を落とすのだ。
*Fin*
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