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第4話

残っているのは、普段は近づかないようにしていた寝室だった。 付き合いはじめの頃は何度もこの部屋を使っていた。もちろん、アッチの意味も含め。 でも雅也が沙耶を引き取ると決めたとき、俺はアイツに黙ってベッドを処分し、2人の為の新しい物を用意したんだ。 だって嫌だろ? その……あんなことをしていた場所に、この純粋な女の子を寝かせるだなんてさ。 そしてそれからは、ここに立ち入らないようにしていた……俺が踏み込んでしまったら、汚してしまうような気がして。 正直今も入りたくはない……でも…… (沙耶はここにいるんだよな。見つけてやらないと可哀想だし……今日だけは……ごめん!) 汗ばんだ手で、ドアノブを回すとギギギ……と低い音を鳴らしながら扉が開く。 入り口横の壁に触れ、電気のスイッチを探す。 パチッーーと音を立て部屋が一気に明るくなれば、目の前では白い布団の塊がもぞもぞと動いていた。 (これで隠れてるつもりなんだから、ほんと可愛いよな) 足音を立てないよう、静かにベッドへと近づき……ガバッと勢いよく布団をめくった。 「沙耶みーっ」 「あっくーーーん!」 「うわわっ!」 勢いよく飛びついてきた少女をなんとか抱きとめて、その場に尻餅をつく。 「っててて……お前、勢い良すぎ」 「へへーっ♪」 「怪我、してないか?」 「あっくんがギューしてくれたから大丈夫っ。それよりも、あっくん見つけた時の言葉言って!」 目を輝かせながら、かくれんぼならではの言葉を求める沙耶。 「はいはい……沙耶、みーつけた」 「あっくん。見つけてくれて、ありがとう。……はい、ごほーび」 そう言って彼女は、小さな両手で大切そうに握りしめた白い箱を、俺の前に差し出した。

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