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第6話

「ーーっ」 目の前が霞み、今自分は涙を流しているんだと分かる。 そっと左手をとられ、薬指にはめられた指輪は眩しい位に輝き……驚くことにピッタリだった。 俺のためだけに用意された物なんだと、痛いくらいに伝わってくる。 「ふ……つつか……ものっ、ですが……お願……しまっ」 幸せを噛み締めながら、必死に返答をした。 「あっくん、幸せ涙?」 俺の目を自らの袖で撫でながら、沙耶は首を傾げる。 「ん。幸せ涙だよ……。雅也と……沙耶と離れたくなかったから、俺今すげー幸せ!」 今まで我慢して……言えなかった言葉を伝える。 「あっくん幸せなら、沙耶も幸せー!」 「俺も」 そう言われて沙耶には左、雅也には右の頬にキスをされた。 むず痒いけど、胸の奥がポカポカして心地良い。 「ふあぁ〜」 「もうこんな時間か。沙耶、布団に入って寝なさい。……梓も、おいで」 「……うん」 腕を引かれ、今まで立ち入らなかった場所へと踏み込む。 ギシッーー 3人分の重みで沈みはするが、俺が触れた場所が汚れるなんてことはなかった。 「余計なこと考えないで、梓もゆっくり休みな」 そう言って伸びてきた雅也の手は、リズムを刻みながら俺の腰を優しく撫でる。 それが心地よくて……気づけば夢の中へと意識を飛ばしていた。

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