13 / 152

第二章 愛人にならない?

 あったかい。  エアコンで温められた部屋。  ふかふかの、お布団。  おかしいな。  ここが、僕のおんぼろアパートのはずがない。  寝ぼけ眼で、瑠衣はそんなことを考えた。  石鹸の香り。 「は!」  そうだった。  僕は昨夜、ケーキを5個買ってくれたお客様にバスルームで犯されて……! 「あ、起きた」  忌まわしいクリスマス・イヴを振り返る瑠衣の前に、その元凶が現れた。 「よかった。死んでなかったね」 「な……っ!?」 「覚えてないの? イッたまま、気絶しちゃったんだよ」  それより、と寿士は瑠衣の腕を引いた。 「起きて起きて。そして、食べるの手伝ってよ」  腕を引かれるまま、瑠衣はダイニングキッチンへ連れて行かれた。

ともだちにシェアしよう!