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第二章・8

「こ、今夜は寝ませんから! お客様は、ケーキ買ってくれませんでしたから!」 「危ないところを、救ってやったじゃないか」  店長に、犯されそうだったじゃん。  そう言う寿の言葉に、瑠衣は厳しい現実を思い出した。 「あぁ。また新しいバイト、探さなきゃ」 「あそこ、辞めるの?」 「辞めます。店長が怖いので」 「じゃあ、俺が新しい仕事を斡旋してやるから」 「お客様が?」  胡散臭い話だ。  探るような瑠衣の視線をかわし、寿士は紅茶を差し出した。 「砂糖、入れる?」 「バイトの話じゃなかったんですか!?」 「何だ、やっぱり仕事欲しいんだ」  それは、そうです、と瑠衣は下を向いた。  家賃に公共料金。交通費、スマホの通信料に、発情抑制剤の購入費。  お金は、いくらあっても足りないのだ。

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