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第二章・8
「貧乏は辛いね」
(貧乏とか、ハッキリ言う!?)
瑠衣は、話しはここまで、と立ち上がりかけた。
だが、寿士の言葉に引き留められた。
「月50万円。どう?」
「50万……?」
そんな高額バイト、聞いたことが無い。
怪しい。
怪しすぎる。
(でも、このお金持ちのお客様なら、そういう仕事を知ってるのかも)
恐る恐る、瑠衣は寿士に訊ねた。
「どんな、バイト、ですか?」
「愛人。俺の愛人になってよ。50万あげるから」
「嫌です!」
「速攻で断る? こんな美味しい話、他にないよ」
ねぇ、と寿士は急に甘い声になった。
「俺の名前は、楠 寿士。恋人と別れて、寂しいんだ。心の隙間を、瑠衣に埋めて欲しいんだよ」
そこで初めて、瑠衣は寿士の名前を知った。
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