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第四章 恋人現る
クリスマスから2日後、瑠衣は寿士宅へ引っ越した。
「荷物が段ボール3箱。これだけ?」
「貧乏だから、僕」
ぷいっ、と拗ねて、与えられた一室へ荷物を運んだ。
運んで、落ち込んだ。
「僕のアパートより、広い……」
そして、ここ以外にも数室の部屋、キッチン、リビング、バスルーム、寝室が設けられているのだ。
改めて、寿士の裕福さを思い知らされた。
「瑠衣はどうして、そんなに貧乏なのさ」
「親に、家を追い出されたから」
だから、自分独りで生きていかなきゃならないんだ。
そんな身の上を、瑠衣は語った。
「何で追い出されたの」
「ふしだらだ、って」
「解る」
「納得しないでよ!」
「ミニスカサンタのコスで男を誘う、これのどこがふしだらじゃないって言うんだ」
「あれは、店長命令!」
それよりさ、と寿士は手招きした。
「昼食、出来てるから。早くおいでよ」
「は~い」
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