31 / 152

第四章・2

 結局、言わずに終わってしまった。  僕が両親に、ふしだらだ、って追い出された理由。 「ま、いいか。そんなことに興味持つような人じゃないよね」  わずかな衣類をクローゼットに収めると、瑠衣の引っ越しは終わってしまった。  そこでキッチンへ行くと、寿士は誰かと電話していた。  瑠衣が椅子に掛けると、その通話は終わった。 「午後から、出かけるから」 「急用でもできたの?」 「ちょっと、人に会いに行く」 「ふ~ん」  昼食は、天ぷら蕎麦だった。  大きな海老天が、瑠衣には恐ろしく豪華に見えた。 「いただきま~す♡」 「何で蕎麦にしたか、聞かないの?」 「聞いて欲しいの?」 「やっぱり、聞かないでもいい」 「何でそうなるの!?」  傍を手繰りながら寿士が言うには、これは瑠衣の引っ越し祝いだそうだ。 「ふふふ」 「何、笑ってんの」 「嬉しいな、って思って」 「別に。俺も、蕎麦食べたかったし」  こうして少し胸を温めた瑠衣だったが、午後に寿士が帰って来ると凍り付くことになった。

ともだちにシェアしよう!