32 / 152

第四章・3

 午後4時過ぎ。  玄関から、物音が聞こえて来た。 「あ、寿士さん帰って来た」  お出迎えくらいしようかと動いた瑠衣を待っていたのは、寿士ともう一人、見知らぬ人物だった。 「ただいま」 「おじゃましま~す」  寿士と同い年くらいの、黒髪の男性。  白いコートをふわりと纏った、綺麗な顔立ちの人。 (誰、この人。寿士さんの、お友達?) 「瑠衣、こいつは宮迫 陽詩(みやさこ ひなた)。俺の、新しい恋人」 「ええええっ!?」  よろしく、と言いながらも、陽詩は瑠衣を値踏みしている。 (明らかに、年下だよね。高校生くらい? 寿士の、弟?) 「陽詩、こっちは相沢 瑠衣。俺の、愛人」 「えっ!?」  瑠衣と陽詩、二人で互いを見たり寿士を見たりしていたが、らちが明かない。 (よろしくお願いします、って言うのも変だよね) (年下の愛人!? しかも、同棲!?)  そこへ呑気な寿士の声が上がった。 「陽詩、こっち来いよ。とりあえず、エッチしてみよう」

ともだちにシェアしよう!