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第四章・7
「僕、Ωでしょう。小学生の頃から、よくいじめられてたんだ」
「よくある話」
「中学に入って、このままじゃヤだ、って考えるようになって」
「ふ~ん」
「その時、僕のこと好きだ、って言ってくれる人が現れたんだ」
「なるほど」
瑠衣は、その男子と関係を持った。
初めての、恋人。
舞い上がった。
天にも昇る心地だった。
「でも、その人、転校しちゃって」
「あらら」
「そしたら、他の人がすぐに僕に告白してくれて」
寂しさに耐えきれず、瑠衣はその男子とも付き合った。
「高校生になったら、いろんな人が声をかけてくれた。可愛いね、好きだよ、って」
「……」
「僕、もう苛められたり寂しかったりするのはイヤだったから、誰とでも仲良くした」
「誰とでも、寝たってこと?」
こくり、と瑠衣はうなずいた。
瑠衣の両親はαだったので、Ωの辛さや孤独は解らない。
だから、自分の子が見境なく誰にでも身体を開く淫らな少年だと知った時、家の恥としか思わなかった。
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