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第五章・2

「はぁ、はぁ、あぁ……、あ?」  待って。  今、僕、『寿士さん』って言った!? 「嘘! ヤだ! あんな人のこと考えながらイッちゃうなんて!」  シャワーで自慰の名残を流しながら、瑠衣はぼうっと考えていた。 (僕、寿士さんのことが、好きなの? どうなの?)  解んない。  湯から上がると、途端に携帯が鳴った。 「ぅわぁ! びっくりしたあ!」  発信は、寿士だ。 「何で?」  彼は今頃、陽詩さんと一緒のはずなのに。 「もしもし、瑠衣です」 『瑠衣? 今から出て来られる?』 「陽詩さんは、どうしたの?」 『返事になってない』 「出られるけど」 『じゃあ、一番いい服を着てホテル・コスタに来てよ』  それきり、切れてしまった。 「また人を振り回して」  ぶつくさ文句を言いながら、瑠衣は寿士が選んでくれた服を着た。  上から下までコーディネートされた、完璧なファッションだ。 「陽詩さん、どうしたんだろ」  そんなことを考えながら、タクシーに乗った。

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