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第五章・3

 ホテルのラウンジで、寿士は待ってくれていた。 「あ、やっぱりその服、着てくれたんだ」 「そんなことより、陽詩さんはどうしたの?」 「食事してる時から、熱っぽかったんだよね、彼。だから、家に帰した」 「そこでどうして、僕の登場なのかな?」 「部屋をキャンセルするのも面倒だし、瑠衣と一緒に泊まろうと思って」  ホテルデート!?  しかも、星のついた高級ホテル!  ふらふらと、瑠衣は寿士についてエレベーターに乗った。  ふわふわと、ホテルの一室に入って行った。 「うわぁ、凄い! 夜景、きれい!」 「気に入った?」  展望台のようにせり出したバルコニーから、煌めく夜景が一望できる部屋だ。 (高い部屋なんだろうな)  そこで、寿士はお泊りデートするつもりだったのだ。陽詩と。 (僕、いつも寿士さん家の寝室なのに) 「どうしたのさ。急に黙って」 「ん? あんまり綺麗だから」  寿士は、後ろからそっと瑠衣を抱いた。 「いい匂い。お風呂、入ったの?」 「うん」 「じゃあ、ちょっと待っててよ。俺もシャワー浴びて来るから」  寿士がシャワーを浴びる間、瑠衣は素肌にシーツを掛けて待っていた。

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