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第五章・9
ひくひくと余韻に浸る瑠衣の髪を、寿士はさらりと撫でた。
「あ……」
(初めて、髪撫でてくれた)
「初めて髪を撫でた、とか思ってない?」
「思って……」
思ってない、と言いかけて、瑠衣は止めた。
「思ってた」
「それは間違いだな。瑠衣がうとうとしてる時に、俺、結構撫でてるもんね」
「嘘……」
「ホント」
それより、シャワーを浴びよう。
そう言って寿士は、ひょいと瑠衣を横抱きして立ち上がった。
「ひゃあ!」
「ね、バスルームでやって見せてよ。一人エッチ」
「い、や、だ!」
それでも、抱き上げられた瑠衣は幸せだった。
自分は陽詩の代理だという暗い気分も忘れるくらい、ハッピーだった。
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