52 / 152

第六章・6

「ショウガ湯飲んだら、出かけるか」 「ん? どこに?」 「初詣」 「いいよ。いってらっしゃい」 「瑠衣、お前も来るんだよ」 「え」  瑠衣は、ショウガ湯の入ったカップを置いた。 「いやぁ~、そういうのは、さ。やっぱり恋人の役目なんじゃないの?」 「陽詩、帰省中で今県外」  行きたくないの? と顔を覗き込む寿士は、くらりとするほど優しい目をしている。 (企んでる! 絶対何か、企んでる!)  でも……。 「行く。行きたい、初詣」 「じゃあ、早く飲めよ」  瑠衣は急いでショウガ湯を飲み干すと、寿士について外へ出た。

ともだちにシェアしよう!