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第六章・9
「吉……」
「残念でした」
「くじじゃないもん。おみくじだから、吉でもいいんだもん」
「くじはくじじゃないか。どれどれ、見せろよ」
『運気盛にして事をなすによいけれど万事細やかにきをつけて一度おもい定めたことはわきめもふらず一心になさい 何事も成功します』
「案外いいじゃん」
「うん……」
しかし瑠衣は、その下の『恋愛』の項に目を落としていた。
『恋愛 恋敵に注意』
はぁ、と溜息が出る。
(勝ち目、なさそう……)
頭の中には、陽詩の姿が浮かんでいた。
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