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第七章・3

「来てくれたんだ。よかった」 「待ってたよ、ずっと」    瑠衣の言葉に、山岡は嬉しそうに微笑んだ。 「ありがとう。何か食べる?」 「うん、何がいいかな~」  マフィンを頬張りながら、甘いカフェオレを飲みながら、瑠衣と山岡はいろんな話をした。 「で、相沢は今、何してるの? どこかに勤めてるの?」 「ん? うん。愛人してる」 「愛人!?」  瑠衣のノルマケーキを全部買ってくれた寿士と愛人契約をかわし、共に同じマンションで暮らしている話を、山岡は複雑な表情で聞いていた。 「でもね、そのパトロンには恋人ができちゃったから、僕はもうお役御免になるかもしれない」 「そんな身勝手な」  山岡は、寿士にいい印象を抱かなかったようだ。  ぶつぶつと、瑠衣が可哀想だとこぼし始めた。

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