59 / 152

第七章・4

「俺なら、相沢を悲しませるようなことはしない。相沢だけを、見つめ続けるけどな」 「あ~あ。その言葉、寿士さんに聞かせてやりたい」  いつの間にか山岡は、テーブル上の瑠衣の手を握っている。 「な、相沢。午後、ヒマ?」 「ん? 特に予定はないけど」  あの、さ。  山岡は、声を潜めた。 「ホテル、行かない?」  え。  それって、つまり。 「ど、どうしようかな……」  瑠衣の頭には、寿士の姿が浮かんでいた。 (寿士さん、僕が他の人と寝たらどう思うだろう) 「怒られちゃうよ、寿士さんに」 「怒らせるなよ。その寿士って奴も、瑠衣以外の人間と寝てるんだろ? 浮気してんだろ?」  高校生の頃、慕っていた山岡先輩。  優しかった。  いつも、大切に抱いてくれてたっけ。 「うん……。じゃあ、行く」  瑠衣は、山岡と共にブティックホテルへ入ってしまった。

ともだちにシェアしよう!