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第八章・2

「でも、あんな風に責め立てて来る寿士さん、初めてだったな」  焦りの見える、雑な愛撫。  始めから激しく腰をいれ、抜かずの3発立て続けにヤってきた。  ふらふらくらくらしている瑠衣を腹這いにひっくり返し、今度はバックから失神するまで犯してきた。 「エッチで気を失うのは、久しぶり」  クリスマス・イヴの出来事を、瑠衣は思い出していた。 「浮気の罰、だったのかな」  それにしては、怒りや嫌味の言葉一つも出て来ないのは妙な感じだ。  瑠衣が眼を覚ましたら、身体はきれいに拭いてあったし、パジャマも着せてくれていた。 「そういうとこ、好きなんだよね……」  大事に想ってくれてるのかな、と期待してしまう。  寿士自身は、何も言わないが。 『瑠衣、好きだ。大好きだよ、瑠衣』 『瑠衣は、もう独りじゃないだろ。寂しくは、ないだろ』  陽詩さんと初めて会った後の、あの言葉。 「あれは、何だったんだろう」  寿士さんは、本当に僕のことが好きなの?  そして、僕はそんな寿さんが好きなの?  独りで考えても、答えは出なかった。

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