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第八章・3
「ここだ。『スピリチュアル・エンジェル・タロット占いの館』」
よく当たる、と評判の占い師の元へ、瑠衣はやって来た。
整理番号を受け取り、待合室へ通される。
「2時間待ち、かぁ……」
それだけ大勢の人が、訪れているのだろう。
癒しの音楽が流れる中、瑠衣は出されたハーブティーを飲みながら順番を待った。
ようやく瑠衣の番が来て、ドキドキしながら占い師の待つ部屋へ入った。
中はほの暗く、良い匂いのする香が炊いてあった。
「ようこそ。あなたを導くお手伝いをさせていただく、ヴィヴィアン・武田(たけだ)です。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
瑠衣は武田の勧める、正面の席へ腰かけた。
「今日は、何を求めてこちらへ?」
「え、えと。あの」
「リラックスしていいのよ。秘密は守ります」
「はい、では。僕は、寿士さんのことが、好きなんでしょうか?」
まぁ、と武田は眼を円くした。
「ご自分のお気持ちに、迷ってらっしゃるのね。大丈夫、その方が気になる、ということは『好き』ということなの。心配しないで」
「そうなんですか? そうなんですね?」
腑に落ちた顔をして出て行こうとする瑠衣を、武田は慌てて止めた。
「待って。せっかくですから、その方との相性を占いましょう」
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