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第九章・4

 翌日、瑠衣は完成したガナッシュチョコケーキを前に、呆然としていた。 「何か、思ってたのと違う……」  レシピの完成写真とも、明らかに異なっている。  正直、自分でも……。 「あんまり、美味しくなさそう……」  いや、違う! 「手作りなんだから! 寿士さんのこと想って、一生懸命作ったんだから!」  だから、美味しいに決まってる!  見た目より、味で勝負だ!  そう自分に言い聞かせ、出来上がったケーキを大切にていねいに、箱に詰めた。  ラッピングをして、リボンを掛けた。 「ほら! 何かすごくない!?」  明日が楽しみ。  瑠衣は浮き浮きとした心地で、ケーキの箱をぽん、と叩いた。

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