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第十章・2
「いらないよ、そんなの!」
ぷん、と瑠衣はドアから離れた。
ソファに腰かけ、寿士が残していったアイスティーをすする。
「お見合い、か。結婚、かぁ」
きっと、お金持ちで優秀なαの女の人と結婚するんだろうな、寿士さんは。
じわっ、と涙が浮かんできた。
「僕だって、寿士さんと結婚したいのに」
でも僕は、家を追い出された身で。
何のとりえもない、Ωで。
そして、寿士さんの愛人で。
「無理。どう頑張っても、無理」
『相性は、抜群にいいはずよ。未来も希望に満ちているわ』
占い師・武田の言葉が思い出された。
「未来、希望に満ちてるの?」
『ただ、大きな試練がこの先二人を試します。それに打ち勝てば、未来は輝かしいものになるでしょう』
「大きな試練に勝てなければ、未来は真っ暗ってことだよね……」
勝てるのかな、僕。
試練に。
クッションを抱いて、ころんと横になった。
瑠衣は、そのまま眠ってしまった。
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