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第十一章・7

「あ、っふ。ん、ぁん。寿士さん……っ」 「陽詩、今日は何だかそそるね」  腰を動かしながら、寿士は眩暈にも似た陶酔感を覚えていた。 「そう、かな。やっぱり……、あぁんッ!」 「やっぱり、って何だよ」  陽詩の手が伸びてきて、寿士の背に回された。 「!?」  まるで、電流が走ったような快感が、寿士を襲った。 (何だ、これ。やたら、興奮するけど!?) 「ね、寿士さんッ。今日は、内に出してもいい、よッ」  揺さぶられながらも、陽詩には余裕がうかがえる。  いつもは、我を忘れて悦がり狂うのに。 「スキン、付けてないんだ。そんなわけ、いくかよ」 「ダメ……。僕に、たっぷり種付けして……」  むせかえるような、甘い香りが陽詩から立ち昇った。 「陽詩、まさか」 「お薬飲んでないΩの発情フェロモンは、どんな感じ?」  しまった。  陽詩のやつ、最初からそのつもりで! 「妊娠をネタに、縁談進めるつもりだな!」 「当・た・り」  あぁ、と陽詩は首を仰け反らせた。 「すっごく気持ち悦い。寿士さんも、早くぅ……」  寿士は、これまでの人生で一番焦っていた。

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