95 / 152

第十一章・8

 ぐねぐねと動く陽詩の内壁が、寿士を具合よく締め付ける。 (だ、ダメだ。出るッ!)  しかし、今中出しすれば、確実に陽詩は妊娠するのだ。  寿士は、ペニスの根元を握って射精を封じた。 「どうして? 早く楽になればいいのに」 「見合い相手を初見で孕ませるなんて、できるかよ」  初見、と陽詩は笑った。 「もう付き合って3ヶ月以上にもなるのに? 可笑しいね、寿士さん」  陽詩の両脚が、寿士の腰に絡みついて来た。 「さぁ……、早くちょうだい。僕の内に、寿士さんの子種……」  会話をするだけでも、くらくらする。  そして、腰は勝手に動いて射精を促して来る。 「あ、それから。僕が妊娠したら、あの愛人は捨ててよね」  愛人。  瑠衣のことか。 (瑠衣……ッ!)  寿士は、固く目を閉じた。  暗がりの中で、瑠衣の姿を思い描いた。 『うん! 行く! 行きたい、温泉! 寿士さんと、二人で!』  寿士は目を見開くと、最後の力を振り絞って陽詩からペニスを引き抜いた。 「寿士さん!?」  すぐに白い体液が寿士から放たれ、陽詩の顔に飛んだ。 「悪いな。一緒に温泉へ行く約束、しちゃったんだよね」 「寿士さん!」  ベッドから飛び降り服をかき集めると、寿士は後も見ずに部屋から出ていった。

ともだちにシェアしよう!