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第十一章・9
「ただいま」
「おかえり、寿士さん。意外に早かったね」
これ、と寿士は瑠衣に小さな手さげ袋を差し出した。
「バレンタインの、お返し」
「わぁ! ありがとう!」
瑠衣はさっそく、リビングで包みを開けた。
箱が2つ入っており、一つはやけに小さかった。
「大きい方から、開けようっと♡」
開いた箱から顔をのぞかせたのは、色とりどりのマカロンだった。
「可愛い!」
「食っても美味いよ」
「いただきま~す」
「すぐに、食うのかよ」
マカロンを一つ頬張った瑠衣の笑顔が、可愛い。
寿士は、そんな瑠衣に救われる思いだった。
「う~ん、美味しい!」
「こっちも、開けてみなよ」
寿士は、小箱を瑠衣に手渡した。
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