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第十五章 決戦、ホテル・コスタ
ホテル・コスタ。
その一階フロアに広がるティールームに、寿士と瑠衣は掛けていた。
「ね、寿士さん。ここって、初めてホテルデートした所だよね」
「ああ、そうだな」
あの時は、二人とも全くの手探りで、互いの愛を求めていたっけ。
寿士は、そんなことを考えながらも、臨戦態勢を崩さないよう構えていた。
もうすぐ、両親がここへやってくる。
(瑠衣は絶対、手放さない。父さんが何と言おうが、守って見せる)
「瑠衣は、余計なこと喋るなよ。俺に、まかせておけよ」
「うん……」
寿士さん、僕のこと何て紹介する気なんだろう。
(もし嘘をついたとしても、すぐにバレると思うんだけどな)
だったら、始めから全てを告白した方がいい。
僕の全てを、真実をさらけ出した方がいい。
瑠衣は、そんな風に考えていた。
「瑠衣、来たぞ」
「寿士さんの、お父さんとお母さん?」
そうだ、と寿士は立ち上がった。
瑠衣も続いて立ち、深く頭を下げた。
「少し遅れた。道路が渋滞していてな」
「そんなに待ってないよ」
両親がテーブルに着き、いよいよ瑠衣の紹介が始まった。
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