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第十五章・4

 Ωを理由に、小学生の頃からいじめに遭ったこと。  中学生で、初めて自分を愛してくれる人に出会えたこと。  そんな彼は転校して、自分の元を去ってしまったこと。  その後、告白してきた同級生とすぐに関係を持ったこと。  瑠衣は、淡々と静子に事実を語って聞かせた。 「僕はひどく寂しがり屋で。いつも誰かと一緒でないと、不安で仕方が無かったんです」  だから、高校生になった時には、声を掛けられるままに複数の男性と関係を持った。  人の愛を失うことに、臆病になっていた。 「それと、僕を求めて来た人を断ることに、罪悪感を抱くようになったんです。せっかく僕を好きになってくれたのに、って」  だが、誰にでも身体を許すふしだらな息子を、両親は認めたくなかった。  許せなかった。 「お前はもう、うちの子じゃない。出て行け、って言われました」 「そうね。辛かったわね」  実は、静子は瑠衣を試していた。  これまで彼が語った事実は、すでに掌握済みだったのだ。  瑠衣が嘘やごまかしで逃げる人間ではない、と確認していた。

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