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第十五章・9

「ありがとう、お爺ちゃん」 「なぁに。私は寿士と瑠衣さんが幸せになれるよう、力を尽くすよ」  そして武士も、松葉杖をつきながら御付きの人間と共に去って行った。  寿士は、瑠衣に向き合った。  いい、笑顔だった。 「なんとかなりそうだな、瑠衣」 「寿士さん、ありがとう」 「いや、瑠衣のおかげ。瑠衣の人徳だよ」  寿士は、そっと瑠衣の手を握った。 「結婚しような、瑠衣」 「寿士さん……♡」  それはそうと、と寿士は指を立てて上に向けた。 「部屋を取ってあるんだけど、今からいい? ヤれる?」 「あ、呆れた……」  それでも瑠衣は、寿士の手を握り返した。  うつむき、上目遣いで小さくうなずいた。 「今の瑠衣、とっても可愛いよ」 「バカっ」  二人で寄り添い、エレベーターに乗った。  体も心も、上昇していった。

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