139 / 152
第十六章・8
「瑠衣さんは、それは働き者です。クリスマス・イヴの夜に、店長命令とはいえ薄着の衣装でケーキを売るほどに、真面目な方です」
瑠衣は心の中で補足した。
(ミニスカサンタ、だったよね)
「僕はその姿に心を打たれ、気が付けば瑠衣さんのノルマケーキを全て買い上げていました」
(下心アリアリだったけどね)
「それ以来、瑠衣さんには僕の傍で働いてもらうことにしたんです」
(主にエッチ担当でね)
生活の中で触れ合ううちに恋心が芽生え、結婚を考えるようになった、と寿士は締めくくった。
「どうか、瑠衣さんとの結婚を、お許しください!」
今度は寿士が、頭を深く下げた。
瑠衣の両親は、その姿にひどく恐縮したようだった。
「いや、その。この子は実にふしだらで節操のない子でして。実は高校生の頃……」
「そのお話は、瑠衣さん本人からお聞きしました」
今まで黙っていた静子が、口を開いた。
ともだちにシェアしよう!