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第十六章・8

「瑠衣さんは、それは働き者です。クリスマス・イヴの夜に、店長命令とはいえ薄着の衣装でケーキを売るほどに、真面目な方です」  瑠衣は心の中で補足した。 (ミニスカサンタ、だったよね) 「僕はその姿に心を打たれ、気が付けば瑠衣さんのノルマケーキを全て買い上げていました」 (下心アリアリだったけどね) 「それ以来、瑠衣さんには僕の傍で働いてもらうことにしたんです」 (主にエッチ担当でね)  生活の中で触れ合ううちに恋心が芽生え、結婚を考えるようになった、と寿士は締めくくった。 「どうか、瑠衣さんとの結婚を、お許しください!」  今度は寿士が、頭を深く下げた。  瑠衣の両親は、その姿にひどく恐縮したようだった。 「いや、その。この子は実にふしだらで節操のない子でして。実は高校生の頃……」 「そのお話は、瑠衣さん本人からお聞きしました」  今まで黙っていた静子が、口を開いた。

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