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第十六章・10
「またホテルの部屋取ってるとか、信じられない」
「瑠衣のご両親説得に成功したら、ご褒美にホテルデートしたい、って思ってたんだよ」
瑠衣と寿士は、ホテルの一室でくつろいでいた。
「ああ、でも、まだ手が震えてる」
「瑠衣、立派だったよ」
よく頑張ったな、と寿士は瑠衣を抱き寄せ額にキスをした。
「寿士さんが、付いててくれたから」
あと、お母さんとお爺さんも。
たくさんの人の協力で、僕は幸せを掴めたんだ、と瑠衣は嬉し涙を流した。
瑠衣の両親は、寿士との結婚を許してくれたのだ。
「それはね、瑠衣の人徳だよ。素直な心が招いた結果、なんだよ」
素直な心。
瑠衣は、いつかの占い師の言葉を思い出した。
『ただ、大きな試練がこの先二人を試します。それに打ち勝てば、未来は輝かしいものになるでしょう』
『意地を張らずに、素直になることがカギになりそうよ。お相手にも、そう伝えておいてください』
「寿士さん」
「なに?」
「愛してる」
「俺も、瑠衣を愛してるよ」
そっと、二人で口づけあった。
静かに、長いキスをした。
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