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第十七章・2

 恐るべき食卓を想像していた寿士だったが、その予想は大いに外れた。 「何、これ。買ってきたの?」 「ふふん。ちゃんと僕が作ったんだよ!」 「嘘だろ」 「嘘じゃない!」  ローストビーフ、ホタテのアヒージョ、サーモンのカルパッチョ。  サラダはリーフをちぎって円く整え、色とりどりのミニトマトで飾ってある。  まるで、可愛いクリスマスリースのようだ。 「マナー講座の他に何か身につけたいものがあれば、先生を付けてくれる、って寿士さんのお母さんが言ってくださってね」  それで料理の腕を、こっそり磨いていたのだ、と瑠衣は言う。 「驚いたな。まさか、ケーキも?」 「焼いたよ。冷蔵庫に入れてるから、デザートにしようね」  凄い進歩だ、と寿士は食卓に着いた。 「……美味い!」 「よかったぁ!」  二人で、温かな食事を楽しんだ。  身も心もぽかぽかになる、瑠衣の手料理だった。

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