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第十七章・3

「寿士さんは、今どんなお仕事を勉強してるの?」  ケーキを食べながら、瑠衣が訊ねた。  寿士はうなずき、コーヒーを一口飲んで答えた。 「福利厚生。社員一人一人の生活と将来がかかってるからね。身が引き締まるよ」 「ふ~ん……」 「何だよ」 「寿士さん、頼もしくなったねぇ。去年の今頃と比べたら、別人みたい」  去年の今頃。 「去年の今頃は、瑠衣をクリームまみれにして喜んでたっけな」 「変態だった」  俺は今も変態だぞ、と寿士はケーキのクリームを指ですくうと、瑠衣の唇にすばやく塗った。 「んむっ!?」 「いただきま~す♡」  寿士は、クリームと一緒に瑠衣の唇をぱくりと食べた。

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