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第7話 それからお洒落な
それからお洒落なイタリアンのお店でビックリするくらい美味しいピッツァやパスタをご馳走になってしまった。
オススメの赤ワインを一杯飲んだせいか緊張が程よく解れて気分が良くなった。
「はあぁ~美味しい。僕こんな美味しいチーズ生まれて初めて食べました」
「へぇ……花房くんっていつもどんなの食べてるの」
「えーとコンビニの弁当とかスーパーのお惣菜とかカップ麺とか」
「……」
「金ないし直ぐ食べれるんで!安いの中心に選んでます。あ、半額の弁当とかあると最高ラッキーなんですよー」
「……そんな食生活していてそれか」
「それ?」
「いや……このお肉も美味しいから食べなよ」
「はい……あの僕ばかり食べてるけど良いんですか?えっと……」
「……城崎。俺、城崎京 って言うんだ」
「城崎さん」
「京でいいよ。それと敬語やめてね。イライラするから」
「イライラするから?」
「仕事みたい」
「へー。あのでも年上だし……京さんじゃ」
「却下。俺は桜偲 って呼ぶから」
「京さ……じゃなくて。きょ、京……」
「何」
「……桜 でいい……すよ……僕桜って呼ばれてるから」
「桜か……確かに桜偲より呼びやすいな」
な、何だこの会話。
初対面の人と名前呼びの話してるって可笑しい。また会うみたいな感じだ。
見るからに出来るビジネスマンで車も運転手がいて凄いから多分セレブだ絶対金持ちだ。
明らかに住んでる世界が違う二人がランチしてそんな会話して違和感半端ないなぁ。
「じゃそろそろ帰るか」
「はい、本当ご馳走様でした!良いのかな。こんなご馳走してもらって」
「気にしなくていいよ。これからはいつでも食べられるし」
「?」
店を出て再び車に乗り込んだ。
「あ、K駅に自転車止めてあるからそこまで」
「自転車は駅前の駐輪場?」
「はい」
「オッケー。こちらで回収しておく」
「え」
「家にこのまま帰るから」
「家?って家?」
「……そう家。桜の新しい家だ」
「……」
「……」
「……………………え?」
「桜、お前はラッキーだ。俺のところで高額バイトが出来る。バイトと言うか永久就職だけど」
!
その時のニヤリと笑った城崎京の顔が今でも忘れられない。
あの顔はね。悪魔の微笑みってやつだよ。
さすがの鈍い僕も危機を感じてその時は何も言葉が出て来なかった。
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