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第8話「ここが桜の

「ここが桜の新しい家だよ」 ……連れてこられた場所は都内の一等地にそびえるタワーマンションだった。 高級ホテルみたいな?建物入ったらフロントみたいなのあったし、こんな高いマンションを僕は知らない。 そのマンションの何階か分からない階に連れてこられた。(後で知ったけど最上階だった) 「あの……全然意味が分からないんですけど……」 「ここのゲストルームを君の部屋にするから好きに使って構わない。桜の荷物は明日アパートから来る予定になってるけどどうだろう……がらくたばかりだったから殆どがゴミになるかもしれないな。まぁ必要な物はこちらで用意すればいい」 「え!?アパートって僕の!?」 「勿論」 「ちょっと待って!何で?何で僕の荷物が?僕がここに住むって冗談ですよね?僕貴方のこと知らないし、初対面だしこんな凄い場所に住むとか意味分からないし!スミマセン帰ります。僕の家はあのアパートなんで」 「でももうないよ」 「え?」 「桜のアパートは今月いっぱいの契約で引き払ってしまったから。今頃荷物も全部出している頃だし帰っても何もない」 「はあ?」 ちょっとマジでこの人何を言ってるんだ? 「だからね。さっきから言ってるけど、桜の家は今からここ。何を言ってもここなんだよ。理解しようか」 「……り、理解なんて……出来ません。出来るわけないじゃないですか」 「だけど帰っても桜の住む場所はないよ。それにバイトも辞めちゃったから金稼ぐことも出来ないし」 「そ、そんなの……これから探します」 「俺意地悪だからバイト先見つかってもにまた退職の電話しちゃうかも」 「は?またっていうのは……バイト!やめるって電話したのあなたですか!」 「大学にはさすがにしてないけど、桜がここを出て行くっていうなら考えるな」 「そ、それって脅迫っ!」 「今さら気がついた?面白い子だなぁ。それに……」 え、何? 京が僕に近いてきてふわりと抱き締めてきた。外国人がするハグみたいに。 「あ、あああの」 「やっぱり……いい匂がする」 「え」 「説明は後でちゃんとするよ。でもその前に確かめさせて貰う」 「?」 疑問に思い京さんの顔を見つめた。 身長差があり、少し仰ぎ見る感じで目と目が合う。 その見つめる顔が近づいてきてドキリとした。 イケメンのドアップ!と思っていたら何とこの人僕の首筋に顔を埋めてきたではないか! え!んえ!?京さんの唇が唇がっ首筋に! そう思ったのと同時に首筋がじぃんと熱くなった気がした。 なんて言うか熱い。 じんじんする熱さが京さんの唇があたっている部分から伝わってきて混乱する。 しかも何か抱き締められてますけど僕?この状況は一体何なんだろ。 理解不能でされるがままになっていた。 でも、あれ……ちょっと気分が……変かも。 意識が遠退いていく感覚。 急に足元がフラついて立っていられず膝がカクってなった。 「……っと……」 「…………」 「…………悪い。やり過ぎた」 「…………」 やり過ぎた……とは? ふわりと身体が軽くなる感覚があったけど、抱っこされたことまでは覚えていなかった。 僕はその後意識を失ったから。

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