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第12話 「桜起きろ。

*** 京 「桜起きろ。買い物に行く」 「え、今から?」 「スーパーに行くぞ。ちゃんとした夕食を食べてもらうからな」 「は……い?」 「それと!明日は買い物に行くから、出かける準備をしておくように。いいな?」 「は、はいぃ……」 それから近所の24時間やっているスーパーで食材の買い物をし夕食の支度をした。 マグロのガーリックステーキ&サラダとアサリの味噌汁を作って桜に食べさせる。 とりあえず鉄分が豊富な食材を選んだ。 「……京さんって料理出来るんですね。凄い……こんなマグロ見たことないし!しかもステーキだなんて!いい匂いですね~」 「京でいいって言っただろ。それに敬語もやめろ。早く食べなさい」 「は、はいスミマセン。だって自然と出ちゃうんですもん。……わぁ……美味しい!なんだこれ……」 「……」 恐る恐るステーキを一切れ箸でつまみ感動しながら食べる桜の様子を、赤ワインを飲みなから眺めた。 「はぁ……」 ため息が溢れた。 目の前にいるこの人間が宇宙人に見える。 この家を好きに使っていいと言ったのに、何故あんな行動をするんだ? こいつがここに来てから二週間、聞くとゲストルーム以外はトイレくらいしか使ってないらしい。 普通は風呂も洗濯機も適当に使うだろ。 リビングでくつろげるし、冷蔵庫には酒もソフトドリンクも入っているのに、それらにも一切手を付けていない。 「京さ……京。これ僕が全部食べていいの?」 「勿論。できるだけ沢山食べるように。ったくコンビニ飯ばかり食べてたら身体が悪くなるばかりだろ。今後コンビニ飯は禁止。自炊しなさい」 「え!」 「ちゃんとここのキッチンを使うこと。冷蔵庫もそう。それと……風呂も銭湯ではなくここの風呂に入ること。それ食べ終わったら入るように」 「え!だ、だってあんなガラス張りの透け透けな風呂なんて見たことないし入り方分からない!」 「あぁ……外から見えるのが気になるならリモコンで曇りガラスにできるけど」 「そうなんですか」 「そもそも見る奴なんていないだろ。入り方が分からないなら一緒に入って洗ってやろうか」 「それは大丈夫です!……そ、そうかもしれないけど、使うと汚しちゃうじゃないですか……あんなに綺麗なのに。僕、何て言うか……高級なのに慣れてなくて……」 「この家で生活するからには慣れてもらわないと困る。汚れるからとかいつまでも貧乏くさい生活してると身ぐるみ剥ぐぞ。ここにはここの生活水準があるから。レベルを合わるように」 「……はいぃ」 困り果てたようなトーンの返事が返ってきたけれど、二週間桜を放置していた自分にも反省する点はあった。 多忙だったとは言えもう少し彼に配慮すべきだったかもしれない。

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