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第18話 二回目の吸血

二回目の吸血の時に加減が出来なかったことを京さんはとても気にしていた。 自分自身を全くコントロール出なかったことが許せなかったみたいで、それから二ヶ月くらいは吸血することを控える日々が続いた。 僕はその間もしっかりとした食事(殆ど京さんが作ってくれた)をとっていたので貧血も体調もすっかり回復していたのだ。 季節は夏で毎日暑い日が続いていた。僕は長い夏休み期間中だ。 夏休みは毎年バイトやボランティア活動を入れていたけれど、バイトが今年はない。 ってバイトは家政夫として一応雇われているんだけど(全然できない)それ以外のバイトはNGだった。そして僕の口座にはビックリするくらいの金額が振り込まれている。 多すぎる!ってそれについて京さんと何度か言い合いにもなったけど、京さんは引いてくれなかった。 「二回も死にかけてるんだ。それを考えたら安いものだ」 「……」 そう言われたら何も言えない。 それについて京さんやたら気にしてるし。 でもそれでも納得がいかない部分があるから僕は少しでも京さんの役に立てたらいいなって思った。 「それにしても、羨まし過ぎるって~!」 「あはは……」 今日はボランティア活動の友達何人かと一緒にバーベキューをしに公園に来ていた。 予約しておけば手ぶらでバーベキューが楽しめる施設があり、海が近く自然環境の保護を目的として作られた公園なので自然豊かでレジャーにはもってこいの場所だ。 「でも足長おじさんって本当にいるんだねー!桜くん良かったね!」 「桜が着る服が急に変わったからビックリしたよね。けどそういう理由かって思った」 「桜くん成績いいし、いい子だしね~!」 学校の友達は直ぐに僕の変化に気がついて焦った。ある時から身につけている全てがブランド物だからだ。 京さんは僕の生い立ちを知り、生活支援をしたいと名乗り出てくれた足長おじさんということになっていた。 養子縁組も視野にいれて(京さんが勝手に考えていてビックリ)友達からはそれはそれはえらく羨ましがられた。 ……京さんが吸血鬼ってことは勿論皆知らないから世間的にはそういうことになっているけど、京さんって本当に僕の血が大好きなんだなぁ~って思わずにはいられなかった。 それならもっと沢山吸ってもらいたいけど、なかなか上手くいかずまだ二回にか吸ってもらえていない。 「桜~本当良かったな!やっぱりちゃんと見てくれてる人っているんだよな」 「陸、ありがと」 「つか、杏だけどさ。あいつもう山下と終わったみたいだぜ」 「え、そうなの?」 「理由は分からないがけど山下に愛想尽かしたらしい」 「そうなんだ……残念だね」 「残念って。桜はもう杏に未練ないんだ」 「うん。だって向こうも僕何かにもう興味ないだろうし」 もう杏ちゃんのことを話題にしても普通だし、別れた時と比べて吹っ切れていることに気がついた。 杏ちゃんは可愛いけど、僕なんかには勿体無い。つき合えたことはもういい思い出だ。 陸と皆とで缶サワーで乾杯して肉や海鮮を焼いたりして楽しいひとときを過ごした。 天気が良くて暑かったけど、いい気分転換になった。 夕方皆と別れ帰宅する途中、京さんに帰りますのメッセージを送る。 京さんは今日は家で仕事らしい。 帰宅すると既に夕食の準備をしているらしくいい香りが漂っていた。

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