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第24話 ある日。
ある日。
「……パーティー……ですか?」
「そう。週末にとある企業のレセプションパーティーがある」
「はい」
「それに桜も一緒に行ってもらうことになった」
「ええ!?パーティーなんて僕行ったことも見たこともないですよ」
「だろうな。頑張れ」
「え!!」
ある日仕事から帰ってきた京さんから急に言われたパーティーのお誘い。
パーティーなんて次元が違いすぎてイメージすらできない。
「桜のスーツは手配済みだから心配しなくていいし、当日は俺の後ろにくっついていればいいだけだから」
「…………は、はい。でもどうして僕なんかが……」
「……なんか、じゃない。言い方気をつけて」
そう言いながらプニっと頬っぺたを摘ままれた。
「は、はひ……スミマセン……」
「桜のことは公にはしていないから殆どの人間が知らない。でもどうしても情報は漏れる。本当に支援が目的なのかと疑う奴もいるし、良くも悪くも感心ある輩がいるのは確かだから、クリアであることをアピールする為に今回桜を連れて行くことにした」
「……あ」
「旗から見たら俺の隠し子じゃないかとか、良からぬ関係ではないかとか言う奴がいるんだ」
「か、隠し子ですか」
「一体いくつにできた子だよって感じだろ」
「ふ、あはは……そうですね」
京さんの隠し子だなんて言う人がいるんだ。
そう思ったら可笑しくなってしまった。
「まぁ、良からぬ関係っていうのはあながち間違いではないけどなぁ。……欲しくて拉致したのは事実だし?」
そう意味深なトーンで耳元で囁くからドキンとしてしまった。
良からぬ……確かに良からぬ関係だ。
だって京さんは吸血鬼だし、僕は京さんに捕食される為にここにいるから。
うーん改めて考えると、捕食される為にっていうのも凄いなぁ。
……だけど僕みたいな奴でも誰かの役に立てることがあるんだと思うと、正直嬉しくて受け入れてしまう自分がいた。
それが京さんなら尚更嬉しい。
……って、これはこう思うのは京さんが色々と僕の面倒を見てくれ、美味しい料理を沢山作って食べさせてくれたりとか?そういう恩があるみたいな感謝の意味であるからであって、決して好きだとか嫌いだとかの意味合いではないのだ。
拐ったことはいけないことだし確かに驚いたけど……上手く言えないけど、僕ではない他の人が犠牲にならなくて良かったなって思ってる。
僕でなかったらきっと逃げたしたり怯えたり訴えたり警察沙汰になったりしていたのかな?って。拐われて来たんだよなぁ僕。
世間ではきっとこういうのは大問題なことだろうとぼんやり思ってみたり。
「これを期に逃げ出すっていうこともできるけど?」
「逃げたかったらもう逃げてるでしょ。今さらですよ」
「そう」
「それに逃げても無駄なんですよね?」
「……はは、そうだね。絶対見つけるから」
「大丈夫です!僕は逃げおおせる自信ないんで!パーティーは分かりました。頑張ってみます」
「うん」
「は、話し掛けられたらどうしたらいいですかね」
「そうだな。笑いながら適当に挨拶しておきなさい」
「は、はい!」
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