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第27話 キラキラした

キラキラした会場は眩しく、ドレスを着た女性たちも美しくて豪華でドキドキしてしまう。 京さんが歩く度に周囲の人が振り返り、近付いて挨拶してきた。 ……凄いなぁ……京さんってそんなに凄い人なんだ……そう思わずにはいられない。 たまに僕も声をかけられたから京さんに言われた通り笑って挨拶をした。 それを何度も繰り返す。 大抵の人はそれで済むけど、明らかに僕のことが邪魔みたいな態度の人がいて戸惑う。 「城崎さんの心の広さに感動しましたわ。わたくしも以前から支援活動を考えまして……」 「そうですか」 そんな会話をしながら京さんと僕の間に割って入る美女がいて(なんかちょっと睨まれた)然り気無く京さんに身体を寄せてきた。 京さんも振り払うこともなく軽く女性をエスコートして会話を楽しんでいるようだった。 す、凄い……女性の扱いも慣れてる。 そんな姿すら魅力的で後ろからぽかんと眺めてしまった。走って追いかけるのもなぁ…… 一人で佇んでいたら、ウェイターに飲み物を勧められたのでシャンパンをもらった。 その合間に京さんは美女に促され遥か先に行ってしまい完全に一人ボッチだ。 ……はぁ~こんなところに来れるのも今回限りだろうし、記念にありがたくシャンパンでもいただこう。 ふらふらと会場の端に行き空いていたソファーに座った。 コクコクと飲んだシャンパンは喉が渇いていたのもあってとても美味しかった。 「はぁ~美味しい……」 「あははいい飲みっぷりだね。良かったらおかわりしますか?」 気がつくと目の前に知らない男性が立っていて、新しいシャンパンをウェイターから受け取ってくれていた。 「えっと……」 「私のはあるので、冷えたこちらを良かったらどうぞ」 「ありがとうございます」 その人は一声かけてから僕の隣に座り軽く乾杯する動作をしてくれた。 つられて僕も乾杯をする。 「いや~賑やかですね。もう賑やか過ぎて誰と話したか分からなくなってしまいました」 「そうなんですか」 「はい。失礼……お若いですよね。こちらには誰かと一緒に?」 「え、あ、はい大学生なんですけど、今日は特別に連れて来てもらったんです」 そうだ笑顔! そう思いつつ背筋を伸ばし軽く微笑んだ。 「……そうなんだ。大学生かぁ……若いとは思っていたけど……ふぅん……何大?」 「M大です」 「M大かぁ。友達に何人かいるけど、そういえば面白い教授がいるって話をしてたなぁ。知ってるかな」 「うちの学校の教授ですか?わかるかな」 「有名な教授だって言ってたよ。あ、良かったら一緒にこの後ここのバーで一杯どう?」 「え、いえ……せっかくですが怒られてしまうんで」 「……そっか。じゃ、名刺渡しておくからいつでも連絡ちょうだい……」 そう言われて名刺を渡されその時何故か手を握られ軽く指を絡められる。 「は、はい!あ!そうだ!あの……離れないようにって言われてるの思い出したので失礼します。ご馳走さまでした」 シャンパンのお礼をしてから席を立った。 男性はまだ何か言いたそうだったけど、京さんのところに戻りたい気持ちが勝った。 笑顔で挨拶を心がけながら京さんを探した。 京さんどこかな。

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