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第32話 「惹かれる

「惹かれる……って」 「童顔で小柄だから組み敷いたり押し倒すには丁度良い。懇願するような桜の困った表情は愛嬌があってそそられるからな」 「……」 「ベッドの上でぐずぐずに泣かせてやりたいと思うんだろ。しかも今日のそのピッタリなスーツのおかげで、お尻が強調されてまた可愛さアップだ。そういうのが好きな輩は結構いるんだ」 「……そ、そうなんですか?は?え、あの、僕男ですけど」 「男同士でもヤれるんだぞ?好みなら尚更口説きに行くだろ。まぁ……桜は俺のだから誰にもやらないけどね」 「…………はぁ~~~うわぁ~~~~~」 「気の抜けた返事やめなさい」 「だって……ドキドキしちゃって……なんか京さんに口説かれてるみたいで」 「…………お前……相当……馬鹿だろ……」 「あ、京さん!ワイン……おかわりしてもいいですか?」 「……勿論。……お前帰ったら覚えておけよな」 「はい~?」 それからお酒を楽しみつつ、京さんと色々話もしてとても有意義な一時を過ごすことができた。 しかし、それから約二時間後。 家に帰った自分に訳がわからないことが起きてしまうなんて……この時は露知らず。 訳がわからないっていうか、あの時はおかしかったんだと思う。 僕も京さんも……かなり酔っていたから。 何が起きたっていうかというと…… と、とととてもやらしいことをしてしまったわけで……男同士でなんですけど、シちゃったわけて……? 魔が差したのかな? なんでかな? だって京さんと僕がだよ? あの京さんと僕がだよ!!? あれからペロッペロに酔った僕と京さんは車でいつも通り自宅へと帰ったのだ。 パーティーがあって気持ちが揺らいだりもしたけど最終的に僕はご機嫌だった。 だって京さんと素敵なお店で美味しいお肉やお酒をいただいて、とても楽しい時間を過ごしてしまったからだ。 車から降りてから京さんに寄りかかり、へらへらしながら家に着いた。 靴を脱ぐ感覚もふわふわしていて面白い。 「いや~今日は楽しかったですね~~京さんもご機嫌ですね~~ひひひ」 「さっきからそればかりだな。ほら先に風呂に入れ」 玄関からバスルームに行く途中でジャケットを脱がされネクタイを外してもらった。 瞼を閉じれば気が遠くなりそうな眠気があるのに、謎にテンションが高くてハイだ。 ハイになると普段しないことが出来てしまい、京さんにYシャツもスラックスも下着まで脱がしてもらってしまったのだ。 「俺も一緒に入った方が効率的だな」

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