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第43話 全部キスで

全部キスでしたって!?嘘!!! お風呂でしたヤツもベッドで何度もしたヤツも……てっきり吸血してるんだと思って………… わ、わああああぁ……大変だ! 「……凄い茹で蛸状態だけど、大丈夫か?」 「は、はいぃ……なんていうか大分勘違いをしていたみたいであぁ……どうしよう恥ずかしい」 「……キス」 「…………はい?」 「キスして良かったか?嫌だった?」 「……」 「……」 「……な、なんて答えれば……」 軽く笑われ、目にかかっていた前髪をゆっくりとかき分けてくれる。 「正直に桜の気持ちを」 「…………きょ、京さんにされて……嫌な訳……ない…………です」 「うん。だよな。良かった」 「……京さんは……どうして」 「どうして?そうだなぁ」 「……」 「俺は欲張りだから。欲しいと思ったら即行動するんだ。桜の血は勿論欲しいから手に入れた。だから桜自身も俺のモノ。桜の口から吸血した時にキスが気持ち良かった。だから欲しいと思った。吸血する時のキスも……普通のキスも。だけど吸血ではないプライベートのキスは特別なキスだ。恋人との大切なモノ……それを俺以外の奴とするなんて許せるものじゃない。絶対にあり得ない」 「……」 「だから桜の身も心も欲しいと思った。分かるか?」 「……な、なんか」 「うん」 「愛の告白されてるみたいですけど」 「……うん、まさにそれしてる」 「ま、マジ……ですか」 「マジ」 至近距離で会話してるのに抱き寄せられて京さんの腕の中! 頭にキスされるのが伝わってくるし、何より全裸でもうどうしたらいいのか分からなくなってしまう。 「……あわわ」 「ほら」 「……」 「ほら、桜言って。今度は桜の番だ。桜の気持ちが知りたい」 「…………え、えーと。どどどうしようちょっと待ってちょっと待って下さい」 京さんはズルい。こんな状態でこんなこと言われて断ることなんてできないじゃないか。 イケメンならではの確信犯?こんな何もない僕の気持ちを知りたいなんておかしい。こんな僕のことが欲しいだなんて…… 「京さんは物好きな人ですね。分かってます?僕は男ですよ?京さんってそっち系ですか?」 「いや」 「なら何で僕なんですか。しがない大学生です。僕は京さんなんかが相手するような人間じゃないのに……こんな……こんな……」 「……」 「仕事だからってしていた吸血がそうじゃないなんて。酔ってエッチまでしちゃうなんて……恥ずかしくて恥ずかしくて……」 「……」 「でも…………ごめんなさい。僕、京さんのこと好きです」

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