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第45話 「今さら
「今さらですけど言いたいんです」
「その困った顔やめて欲しい」
「すみません」
京さんの手がペタペタと顔に触れてくる。親指で撫でたり軽くつねられたり。
気がつくと京さんが僕に覆い被さり直ぐ上から僕の顔を見下ろしていて思い切り戸惑う。
「桜」
「……は、はい」
わ、わ、京さんの青い瞳が猫みたいになってる?吸血鬼って赤い瞳のイメージだけど京さんの瞳は青色だ。こんな綺麗な瞳……初めて見る。
「桜は俺のモノだ」
「はい……」
はい、そうだと思います。その通り!
「ずっと俺の側にいてくれる?」
「は、はい」
「そう……良かった」
ずっとってずっと?
ニヤリと微笑んだ京さんの色っぽい顔がどアップになり、心の準備が出来てないまま唇を塞がれた。
優しくて情熱的で身体が熱くなってしまいそうなキスだ。
息が出来ないくらい……熱い……ん……?血の味?がする。
吸血しているかと思ったけど、少し違うみたいだ。
僕の血の味とは異なる味がする。
これはもしかして……?
「ンは……っ!京さ……これ何?」
「……ン」
長いキスが離れ京さんの唇を見れば血の色に染まっていて赤い。舌が切れているのか舌も赤い……赤い鮮血がまた京さんの美しさに凄みを持たせている。
「桜にとびきりのプレゼント」
「え」
「俺の血の味はどう?」
「……えーと……普通な味です。鉄の味?舌切れてます?大丈夫ですか?」
「……つまらない答えだな。俺の血は普通か……桜のは唾液すら甘いのに」
「え」
「まぁいい。傷は直ぐ治るから大丈夫。桜起きれるか?シャワー浴びに行こう。キレイにして食事を作ってお祝いしようか」
「え!京さんが先にシャワー浴びて下さい!僕は……その……その後で……」
「……桜が入ってる時は磨りガラスにしないよ?それでもいいなら」
「なな!何でですかっ!」
「恋人になったばかりの桜をずっと見ていたいからだよ。ガラス越しに見られるより一緒に入った方が楽だろ」
「こ!こ恋っ!人!!」
「当たり前だろ。今日からここのベッドで一寝るからな。分かった?」
「えええええ!!!!」
「二人で寝るならもっと大きい新しいベッドが必要だな。明日見に行くか」
「え!いやいや!これ以上って!今ので十分ですよ!」
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