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第3話

  「『自分は見学するだけだ、美人局(つつもたせ)とかじゃないから安心してくれ』と言っておきながら、今さら『よくも俺の恋人に手を出してくれたな』的なイチャモンをつけて慰謝料を要求する気じゃないだろうね」    男は余裕をかます体で「わはは」と豪快に笑いつつも、尻でいざって後ろにずれた。  モリがドアに顎をしゃくった。すらりとした躰に殺気をみなぎらせて。  逆らわないほうが賢明だ、と判断する程度のアタマはあったみたいだ。ホテル代、と男は数枚の札をばらまいた。チノパンその他をひとまとめに抱えると、フルチンのまま逃げていった。 「こんがらかってる。逆に器用だな」  モリはもつれ返ったベルトをほどくと、 「してほしいんだろ、見てやるよ」  喉をくすぐってきた。  一も二もなく四つん這いになった。大きく足を広げて、谷間をさらけ出す。するとワークブーツの爪先で、物欲しげにひくついているだろう孔をつつかれた。 「あっ、あっ、モリィ……ぐりぐりされたらイっちゃうよぉ……!」 「ブーツまで食うなよ。さすがに、ひくぞ」    革のすり切れた部分が、ギャザーにちくちくする。痛がゆさに昂ぶって、ペニスが跳ね踊る。  股関節がぎしぎしいうほど乱暴に揺さぶられても毎回、不完全燃焼に終わる。スリコギか何か──そこのキャパを超えるものをねじ込まれたうえで荒々しく(なか)をかき混ぜられないかぎり、本当の意味でイクには至らない体質だ。  というより、そういうふうに躾けられた。  と、モリが仁王立ちになった。おれは、いそいそと床に下りて正座した。そして、上目づかいに微笑(わら)いかけた。  ジ……と、ジーンズのファスナーが下ろされるにつれて、局部が浅ましげにほころんでいく。  ペニスが摑み出されて、しなやかな指が幹にからむころには、我慢しきれずに(かかと)を後ろにめり込ませてしまっていた。  モリが本格的に自身をしごきはじめると、生唾が湧いてしょうがない。  その反面、切なくなる。おれをそっちのけで、ひとりエッチに没頭されると〝恋人〟の立場がないじゃないか。

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