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第6話
ちょっとした社会勉強のつもりだった。春休み中のある夜、手に手をとって彼 の有名なゲイタウンに出かけた。
それが運命の分かれ道だった。
初心者向けの店を下調べしてあったものの、その店は運悪く臨時休業。別の店、と通りを行きつ戻りつしたけれどビビっちゃって、しおしおと立ち去りかけたところに声をかけてきた男がいた。
──初々しいカップルだね。客層がよくてリーズナブルな店に案内してあげる……。
男は、言葉巧みにおれたちを裏通りのほうに誘導すると、コインパーキングの入り口で立ち止まった。その直後、一万本の針が全身に刺さったような衝撃に襲われて、おれはうずくまった。相前後して路上にくずおれゆくモリの姿が、幾重にもブレる視界に映った。
男が、西部劇の二挺拳銃をきどって二本のスタンガンをくるりと回すさまも。
カップル狩りに遭った、と気づいたときには手遅れだった。
躰の中心を激痛が走り、それで意識を取り戻した。結束バンドで後ろ手に縛られていて、生臭い息が首筋にかかった。
男が、おれの内 を食い荒らしていた。
死に物狂いになってもがくたびに、ちょん切るぞ、とペニスにナイフを押し当てられた。赤茶けた畳から、冷気が這いのぼってきた。
廃屋を舞台に、凌辱されつくした。
制汗剤の容器に金槌の柄 にビールの空き瓶。
男は自分で犯すのに飽きると、そのへんに転がっているガラクタを手当たり次第にこじ入れてきた。常習犯に違いない、と怖気 立つ手慣れたやり方で、丸一昼夜にわたっておれを嬲りぬいた。
連帯責任だ、と称してモリを殴った。サッカーボールのように蹴飛ばした。
今の今までおれを苛み、湯気が立っているようなペニスで唇を割って、おそうじフェラとかいうのを強要した。
顔の真ん中がヘコんだみたいになって、鼻血であふれてくる状態でしゃぶらされるんだ。
悲惨な体験だなんて生やさしいものじゃない。ペニスが抜き取られたとたん、モリは折れた歯が混じった精液をげえげえ吐いた。おしおきだ、と言われてまた殴られた。
あの時点で、完全に心が折れたのだと思う。
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