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第21話

 真っ白な尻がぷりぷりと揺れると、悪戯心を刺激される。カニの巣穴を見つけたら麦わらを差し込んでみたくなるのと同じ心理だ。  手始めにテニスラケットの握りでギャザーをかき分けた。螺旋を描くように出し入れすると、 「ぁああ! グリップテープのデコボコがこすれて気持ちいい、気持ちいいよぉ……!」  洪水と呼びたいほど、だらだらと雫を垂らして手がつけられない。  来るものは拒まず、という構造をしているなら、これはどうだ、これは……。  基本の魚肉ソーセージに、マジックインキをまとめて五本。果てはサランラップの芯。  いくらなんでもこれは無理だろう、という太さのものすら、そこはぱくつく。  まいった、と言わせたくて意地になった。ミルクタンクが空っぽになるまで攻めて攻め抜いた。  ぐったりした躰を腕に抱いて、静かに寄り添う。N・Mを愛しげに撫でるさまに瞼が熱を帯びた。  高くなり低くなりする雨垂れが優しく鼓膜を震わせる。雨に降り込められたこの部屋が、ノアの箱舟だったらな。  陸地はすべて海に没して人類が滅亡すれば、波間をたゆたいながら幸福のうちに一生を終えられる。  ところでN・Mをお披露目するにあたって、その栄えある観客第一号はやはり柴田が適役だ。  カイトをダシにして宅飲みに誘うと、ごねながらもついてきた。  もっとも口許はゆるみがちで、あわよくば酔っぱらったふりをしてカイトにチュウを一発、くらいのことは企んでいるに違いない。 「おじゃま……っ!」  俺につづいて室内(なか)に入った瞬間、柴田はビールの六缶パックを取り落とした。  サプライズ成功だ。ちょっとした〝おもてなし〟の趣向を用意しておいた。  それは、カイトが臀部をドアに向ける形にうずくまって、バイブレータを深々と銜え込んだ花芯を開帳におよぶ、というものだ。  虫の羽音のような振動音がくぐもり、内腿を痙攣が走る。あられもなくギャザーがめくれあがって、勃起中枢直撃ものに凄艶だ。 「どこまで根性が腐ってるんだ! 木崎の、足のあの変なマークはなんなんだ!」  と、吼えざま胸倉を摑んできて俺を壁に押しつけた。 「おまえは最低のゲス野郎、人でなしだ! 木崎と別れろ、今すぐに!」 「正義の味方ぶっても……」  ジーンズの前に膝をめり込ませて返した。 「膨らませてちゃ説得力に欠ける」    虫唾が走ったが、我慢した。ぐりり、と膝頭で睾丸を捉えて足を上下させる。  柴田は、ひと声呻いてくずおれた。

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