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第22話

 永久保存版のオカズをゲット! 俺がいなければ、ほくほく顔で動画を録っていただろうに、偽善者に限ってカッコをつけたがるから性質(たち)が悪い。  カイトの隣にしゃがんだ。埋没する寸前までバイブレータを押し込むと、根元に専用のリングをはめて暴発するのを防いであるペニスが、かわいらしく跳ねた。  鮮紅色に華やいでバイブレータを食みくだく孔は、眼福ものだと思わないか?   俺とカイトの関係は次のステージに進み、嫉妬や独占欲といったケチくさいものから解き放たれた。  目を血走らせて鼻息を荒くしているくせに、体裁を繕って〝親友〟のラインからはみ出すのをためらう。みっともないのは、柴田、おまえのほうだ。 「ん、んん……バイブは飽きた、ちんこが欲しいよぉ……ぁ、あっ!」 「だとさ。サカりがつきまくって応援が必要だ。友だちのよしみで相手してやってくれ」    振動を強に切り替えた。カイトが腰を振り立て、柴田は前かがみになった。  二択だ。欲望に屈するも、毅然と立ち去るもお好み次第だ。  そうとほのめかす一瞥を柴田にくれた。バイブレータを抜き差ししてカイトをあえがせておいて、ベッドの上で胡坐をかく。 「こっちは別に柴田にこだわらなくても、志願者は抽選会を開くほどごろごろいる」  これ見よがしにスマホをいじった。沓脱ぎに突っ立っていないで、ケダモノに変身しろよ。内腿に咲き誇るN・Mをかぶりつきで観賞して、地団太を踏んでみな。  絶世の美女も醜女(しこめ)も根っこはおんなじだ。肉体なんて所詮、内臓と血が詰まっているきりの皮の袋だ。  何百、何千の男と寝ようともカイトの魂は(けが)されない。欲望に忠実に、いくらでも遍歴を重ねるがいい。  だが肉体は大盤振る舞いをしても、心は未来永劫俺のものだ。この線は、断じて譲れない。 「『友だちのよしみ』……なんだな?」  柴田が、しゃがれた声で問いかけてきた。俺は煙草を挟んだ指を上げ下げして、カイトは舌なめずりをした。  半月ぶりに餌にありついた犬ですら、遙かにお上品なはずだ。柴田は靴を蹴り脱ぎながらジーンズをずり下げ、カイトにのしかかっていった。  そしてバイブレータを抜き取るのもまだるっこしげに、押し入った。 「木崎、ごめん。誘惑に負けて、ごめん」 「おしゃべりなんか後回しにして、がんがん奥を突いてぇ……っ!」  それを受けてピッチが上がる。たかだか数CCの精液を出す、出さないで理性を失い、しゃかりきになって腰を振る。  滑稽、且つ浅ましい光景だ。  紫煙をくゆらしながら、ひとしきり観察する。ふぅん、優男風の見た目によらずエグいイチモツをぶら下げているじゃないか。  問題は持続力で、せいぜい、きばってくれよ。

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