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第4話
フェルメールブルーで塗られた夜空から銀色の星が5の文字に向かって落ちていく壁掛けの時計。
秒針は絶えず、銀色の星や1と12の間の文字を通り過ぎて、時を刻んでいく。
「ふぅ……」
少し仮眠を取って、食事をし、シャワーを浴びた高屋は大門の指定している2時が来るのを待っていた。
そして、秒針が1時38分を刻んだ瞬間に、事務所のベルが鳴り、ドアが開く。
「こんにちは。2丁目の派出所の大門です。何か、お困りのことはないですか?」
と、高屋の事務所に、夏用のブルーのシャツに警察官の紺色の制服を着た大門が入ってくる。
高校生の頃は勿論、初めて再開した時や食事や映画を見に行ったり、採寸に協力してもらったりした時は当然、職務中ではないから制服を着た大門を高屋は初めて見た。
「びっくりした。大門君、本当に制服が似合うから」
一応、デザイナーである高屋はどんな服を着れば、そのモデルが生きるかが分かるし、実際に服を着せたら、数分の狂いもなく、イメージ通りだったという自負もある。
だが、大門の制服姿は引き締まった身体のラインと大門の持つ静かで、玲瓏な雰囲気が掛け合わされて、高屋の予想以上に似合っている上、反則的だった。
「何だか、心臓が飛び出してしまいそうで、外へ飛び出しても動いていそうだよ」
高屋が言うと、大門は慌てる。
大門とはつき合っていたものの、離れていた暮らしていた時間も長かった。ただ、そのことを加味しても、1年経ったとは思えないくらい初々しくて、高屋は笑う。
「ごめん、ごめん。でも、それくらい似合っていて、カッコいい」
「ありがとうございます、高屋さん」
「それはそうと仕事中なんじゃ……いや、来てくれて嬉しいけど」
「ああ、警ら活動と言いますか……たまに事故や事件が起こっていないか、聞き込みをして廻るんです」
警ら活動とは一般的に言うところのパトロールで、その巡回ルートは意外にも派出所や警察署で定めているものではなく、警察官自身がその日、その日で自由に決めて良いとのことらしい。
「だから、『お困りのことはないですか』って?」
「ええ、刑事巡査になるならスムーズな聞き込みに慣れておくに越したことはないだろうからって広部部長が……」
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