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第七話

 ドクドクと白濁を吹き上げるキョウジの陰茎。しかしいくら精を出しても萎えることはなく、満子ちゃんの中はパンパンに張り詰めたままだ。 「へぇ、イッたっていうのにまだ元気なんだね。さすがアルファとでも言うべきなのかな」  感心したように言うヒカリに、キョウジは再び懇願する。 「ヒカリ……お前のナカに入りたい……頼むから挿れてくれ……」 「嫌だってば」  すげなく拒否すると、満子ちゃんをギュッと握りしめて抽送を始めた。  乱暴と言っても差し支えない、ぞんざいな手付き。それでもラットの熱が全く治っていないキョウジは、いとも簡単に快感を拾う。 「ぅぁ、ヒカリぃ……」 「これでも充分気持ちいいでしょ?」 「気持ちいいけどよくない!」 「どっちなの。あなたはこれで満足していればいいんだよ!」 「あっ、出る、ヒカリ、ヒカリぃ、頼むからっ、くぅっ!!」  呆気なく達するキョウジ。それでもまだ雄は勢力を失っていない。  満子ちゃんの中で肉の張り詰め、次の刺激を求めてピクピクと蠢いている。 「……まだ足りないの?」 「アルファなめんなよ」  仕方なくヒカリは再び満子ちゃんごとキョウジの剛直を擦り上げた。 「うっ!」 「くぅっ……」 「あぁぁっ!」  しかし何度達しても、キョウジのキョウジくんは満足できないらしい。  出しても出しても一向に萎えないキョウジに、ヒカリの方が根を上げた。 「んもう、何回イけば気が済むの!? いい加減腕が辛くなってきたよ!」 「お前のナカに入ったら、一発で満足できる」 「えー、嘘くさい」 「本当の本当だって! お前だってもうこんなこと辛いだろ?」  たしかに腕は辛い。明日は確実に右腕が筋肉痛だろう。  このまま続ければ、キョウジが満足するまでに自分の腕が再起不能になる。確実に。 「えー、でもぉ」 「先っぽだけでいい……一度でいいからお前のナカをに入りたいんだ。頼む、この通りだ」  頭を深々と下げて懇願するキョウジの姿を見て、ヒカリは小さくため息をついた。 「仕方ないな。一回だけだよ?」 「ヒカリ!! あぁ、愛してるっ!!」 「えーそう言うのなしにしてよ、鬱陶しい。嫌いで結構、好かれちゃ迷惑」  などと言いながらも、腰の金具に手をかけてボンデージを脱ぎ捨てた。  ピンヒール以外は何も纏っていない白い体に、キョウジのノドがゴクリと鳴り、シリコン製の満子ちゃんに亀裂が入る。 「本当に先っぽだけだよ?」 「あ、あぁ……わかってる」  上擦った声でキョウジが答える。興奮のせいか、その声は酷く硬い。 「あ、でも慣らさなくていいのか?」 「大丈夫。こんな小枝、そんなことしなくても楽に入るでしょ。それにあなたが目覚めるまで魔羅鬼くん二号と遊んでたから、まだ柔らかいんじゃないかな?」  魔羅鬼くんめっ!!  キョウジは心の中で血涙を流した。 「じゃあ、いくよ?」  椅子に縛られたままのキョウジの上に、大きく股を開いてヒカリが乗り上げる。  満子ちゃんを捨て去って床に投げ捨てると、そのまま屹立に手を添えた。白濁を大量に吐き出したキョウジの雄は陰嚢や陰毛までもがジットリと濡れており、ヒカリの手の中でクチリと音を立てた。  ヒカリはそれに一瞬眉を(ひそ)めたものの、軽く頭を振って己が後孔にピタリと押し当てた。 「ヒカリ……」  期待と興奮と欲を孕んだ目でヒカリを見つめるキョウジ。 ――最初からこの目を向けていてくれれば、僕だってこんなこと……。  微かに疼いた感情を振り切って、ヒカリは一気に腰を沈めた。  魔羅鬼くんに解された後孔が、キョウジの肉塊をズブズブと飲み込んでいく。 「あああああっ!!」  刹那、激しい嬌声を上げたのはキョウジの方だった。  渇望していたヒカリのナカは、想像の遥か上をいくものだった。  春の陽だまりのごとき暖かさがキョウジを優しく包み込み、程よく締め付けてくる。しかも精を搾り取らんとばかりにウネウネと蠕動しているのだ。    キョウジはこれまで、敢えてオメガとセックスすることを避けてきた。  話に聞くオメガとのセックスは、ベータの中で育ったキョウジにとっては恐ろしいとしか思えないものだった。  オメガのフェロモンに()てられたアルファは理性をなくし、本能にのみ支配されると言う。興奮が最高潮に達したアルファの中には、無意識にオメガの項を噛んで番を得てしまうモノもいるという。 ――そんな恐ろしいことできるかよ。  自分が本当に望んだオメガならばいいかもしれない。  けれどそれがもし、全く希望していなかった場合は?  道ですれ違っただけでヒートに中てられ、気付いたら見ず知らずのオメガと番になっていたというアルファの話を聞いたのも、一度や二度ではない。  だから普段から副作用の少ないアルファ用の抑制剤を常用し、オメガとの性交も避けてきたのだ。  いつか巡り会う、自分が認めた最高のオメガのために、キョウジは頑なにオメガを拒み続けてきたのだ。  そんなキョウジだから、これまで関係してきたのは当然、欲に溺れすぎずに済むベータ女性のみ。  彼女たちもキョウジの欲を充分に満たしてくれたが、初めて味わうオメガ(ヒカリ)はキョウジの想像の遙か上を行くものだった。  この感動をなんと言えばいいのだろう。  少なくとも言葉で言い表せるものではない。  雷に打たれたような激しい衝撃がキョウジの全身を貫き、ヒカリの中に入った直後、キョウジは熱い飛沫をその胎内に放出したのだった。 「あーーーーーーーっ!!」  射精した瞬間、キョウジの目の前がチカチカと瞬き、次第に白に染まる。 「ふふ、案外呆気なかったね」  楽しげに話すヒカリの声を聞きながら、キョウジの意識は闇に沈んだ。

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